さわらの観劇ダイアリー

私が勝手気ままに舞台について喋るブログです。

パラドックス定数『プライベート・ジョーク』

セルフアドベント企画「観劇感想アドベント

4日目

 

パラドックス定数『プライベート・ジョーク』(2020)

 

去年の無料配信後、パラドックス定数の最新公演があるとのことで自分が観に行ける日を全部注ぎ込んで観た作品です。

 

なにが、そこまで狂わせたんだ?と思うほどにバフがかかり、テンションも最高潮だった私は友達に宣伝して、自分負担でチケットを渡して誘ったりもしました。

久しぶりに自分がお金払ってでも友人に観に来て欲しいとお願いしました。

それほどまでに初めて生で見たパラドックス定数の公演がぶっ刺さってしまったんですよね。

 

舞台はスペイン。とある学生寮の話で、登場人物5人には名前がつけられておりませんが、それぞれにはモチーフとなる史実の人物がいます(サルバドール・ダリ、ガルシア・ロルカルイス・ブニュエルパブロ・ピカソアインシュタイン)

ダリ、ロルカブニュエルは史実でも学生寮で共に過ごしており、もしこの3人がピカソアインシュタインと出会っていたら、どんな出会いになったのだろうか。というのが起点だとどこかで主宰の野木萌葱さんが言ってたんですが、彼らという人物を知らなくても楽しめる作品でした。

 

シアターウエストの使い方としてはかなり余白があって勿体ない気もしたんですが、(おそらく)正方形で作られたその学生寮の一室は箱庭の雰囲気もあり、個人的にはあのコンパクトさで良かったと思います。

 

学生3人のわちゃわちゃ感が可愛いのなんのって感じですし、講師としてやってくる大人組2人の掛け合いも関係性のオタク的にニヤニヤしてしまうんですが、「言葉は通じるのに分かり合えない」というパラドックス定数のキャラ同士の関係性が例に漏れずあって、時代の変化に呼応するかのように、互いに対する気持ちの変化、それによる掛け合いの変化が丁寧に描かれていて感情移入するごとにしんどくなります。

 

初日観劇後に、正気保つためにつねっていた自分の左手の甲がつねりすぎて真っ赤になっていて、それほどまでに引き込まれてしまうんですよ…。

 

そもそもですね、パラドックス定数、劇団員も客演も皆演技が上手いんですよ!

無料配信時なんか3作ほど観てやっと「あれ、この人…?」と理解したほどには劇団員の演じ分けスキルが高すぎる。

舞台によってはこの演技してるの、あの戯曲の人と同一人物!?となるぐらいに芝居で見分けがつかないなんてこともありました。むしろ見た目でこの人同一人物か!?と分かったくらいなので、人間、演技うますぎると識別できなくなるのか…と驚愕した覚えがあります。

 

今はきちんと顔も名前も演技も一致してますが、それでも舞台を見ると「役者」としての彼らが消えるといいますか、その場に生きる1人の人物として現れるので、なんでこんな演技上手い男4人(+1人お休み中)も揃ってるん…?って本気で思いました。

ストレスフリーで見られるの最高だね…。(数々の虚無舞台を観てきたオタクとしての感動)

 

話逸れますが、この舞台観て以降、参考文献として書かれていた本を買い、ロルカにハマり始めています。マリアナ・ピネーダという戯曲はスペイン語から訳してみようかなとか手をつけ始める始末。

だんだんとダリとロルカの関係性にもハマっていき、なんやかんや、ひと月に一度は彼ら2人のことを調べている気します。

(これもまた参考文献コーナーが出来たり、参考サイト一覧を作ったりと、資料がたまる一方)

 

ガルシア・ロルカについては最近、彼の書いたイェルマがよくやられているなぁと思います。

いずれもし、初海外するならスペインに行ってみたいなぁと目標も出来ましたし、パラドックス定数、本当に私の人生のいろんな扉を開けている気がします。

 

ついでですが、この最近ダリとロルカの交わした手紙を元にした戯曲が海外で演じられたとか……。

どこかで輸入されてきた時には是非野木萌葱先生に演出してほしいですね……。