いきなりですが、下記の記事を2ヶ月ほど前に読んだのが今回のキッカケです。
舞台美術についての定義もきちんと書かれており、このブログを書いた劇団肋骨蜜柑同好会の水口昴之氏の好きな舞台美術家さんが掲載されていて、楽しく読んだ後、ふと観客側として疑問が湧きました。
もしや、大半の人は俳優と脚本・演出だけで観劇候補決めてるの?
とあるTwitterのスペースに参加した時も思ったんですけど、推し脚本・演出家の話はよく聞くけど、照明とか音響とか舞台美術とか衣装とかにも推しがいる話は聞いたことがない。
ちょっと待ってくれ。
推しの姿を美しく照らす照明家が誰かとか、良い塩梅の音楽で観客の心を揺さぶってくる音響とか、その舞台の想像の背景を担う舞台美術に推しがいないの!?マジで?好きな芝居に巡り合う確率が上がるのに??勿体ない!!
という気持ちを押し込めきれなくなったので、私の推し裏方の話をします。
本格的に観劇し始めたのが2016年以降なので、偏ってるとは思います。
(先に言っておきますが、今晩2023年4月3日(日)23:20〜翌3:22(2本立てのうち後半なので実質4月4日(月))NHKBSプレミアムで再放送される「タージマハルの衛兵」は録画して寝てください。後生のお願いです。推しキャストと推しスタッフしかいないので是非観て欲しいです。)
松本大介さん(照明デザイン)
2023年2月には読売演劇大賞の優秀スタッフ賞を受賞されていたので、記憶にある方も多いのではないでしょうか。
照明、と一口で言ってもオペレーターとプランナー、デザイナーが違うことがありまして。
松本大介さんはデザイナーを主にされてる照明家です(プランナーもやっているかもしれませんが、オペレーターのイメージは正直ない)
イキウメ「太陽」(2016)や「タージマハルの衛兵」(2019)、DULL-COLORED POP「福島三部作」(2021)、劇団チョコレートケーキ「帰還不能点」(2021)、風姿花伝プロデュース「ダウト ~疑いについての寓話」(2021)等、作品の名前を上げれば数知れず、ひっぱりだこな印象があります。
松本大介さんの照明は「役者やモノの際立たせ方」が上手く、その人物を見てほしい、その言葉に効果を与えたいという意図がとても分かりやすいんですよね。しかもゾッとするほど美しい。
濃淡、なんでしょうか?光を当てた役者やモノが帯びる「白さ」が抜群に違うんです。知らないで見ていても、あ、この舞台の照明デザイン松本さんかも?と思って当たるほど。
光と闇のコントラストが(おそらく)白と黒で作られていないのも理由にあるんだろうなと思います。
ちなみに個人的ですが、松本大介さんが照明をやる舞台は舞台そのもののクオリティも高いので、安心して見られるんですよね…。
イキウメ「太陽」冒頭の『太陽の光』は必見…!
二村周作さん(舞台美術)
日本において舞台美術家が行う仕事という意味では、大道具・小道具によってデザインされた演技空間(舞台装置)のことを、通常、舞台美術と呼んでいる。
https://www.jafra.or.jp/library/letter/backnumber/2004/117/4/1.html
舞台美術って、その場の空間を想像する一種の手助けになったり、構成する一部として見合った世界観でなければいけないと思うんですが、二村周作さんはその世界観の作り方が丁寧で、かつ細かいところまで作られていて、きちんと調和しているので、とても好きです。
「タージマハルの衛兵(2019)」や「生きる」(2020)、アルトゥロ・ウイの興隆(2020-2021)
今年のエリザベートも二村周作さんだったら観に行きたいなと思っていたりします。
個人的に好きなのは「浮標」(2016)の、あのまっさらな砂だけで構成された舞台美術…。あの上で全て成り立たせるのだと思うとワクワクします(あと、2003年の島次郎氏の浮標の舞台美術と比較しても面白いと…)
この世の舞台美術家、全員写真集作ってほしい…。
鎌田朋子さん(舞台美術)
劇団チョコレートケーキ「治天ノ君」(2013.2016.2019)や「遺産」(2018)など、第31回公演以前のチョコレートケーキの美術や、LiveUpCapsulesの「スパイに口紅」(2017)、「彼の男 十字路に身を置かんとす」(2018)、劇団 俳優難民組合「絢爛とか爛漫とか」(2021)など、主に小劇場系でよくご活躍されているのを見る方です。
余分なものが一切なく、それでいて必要なものが置かれている。置かれている調度品の一つ一つも歴史を感じるような、一つ一つに魅力が詰まった印象を受けます。
開場入りした時に、その空間に一気に引き込んでくれるのも舞台美術の醍醐味だと思っているのですが、その最大限の魅力が詰まった方だと思います。
何となくですが、花まる学習会王子劇場や楽園のせいで二面舞台でのイメージが強いです。
土岐研一さん(舞台美術)
イキウメの全作品の舞台美術デザイナーさんです。
どの舞台美術も好きなんですが、やはり「太陽」(2016)のあの丸い大きな照明や「天の敵」(2017)の後ろにびっしり詰まったビン類を前にして置かれた家具たちの美しさが印象的。
「外の道」の前面格子柄のスリガラスで構成された壁も、あのスリガラスの向こう側から何か出てくるかも知れないと思わせるぐらいには透けて見えて、個人的にワクワクしてしまったりしました。
イキウメ以外だとDULL-COLORED POP「福島三部作」(2021)や「てにあまる」(2021)等…。
前田文子さん(衣装)
ファンもめちゃくちゃ多いなと思ってる衣装家さんです。
新国立劇場バレエ団の衣装なども出かけていて、色んな舞台で活躍されています。
「骨と十字架」(2019)の役者陣のキャソック姿のラインの美しさに目を惹かれて調べ始めたのですが、どの衣装も本当にラインが綺麗なんですよね…。
キャストの人たちが「着慣れている」様に見えるほどに、ピッタリとフィットしていて綺麗なんですよね。
スーツやドレス、ワンピースなど、どんな衣装も見惚れてしまうぐらい素敵なんですよね。
個人的な話ですが、去年観たミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』(2021)のケンシロウの散りばめられた装飾の入ったショルダーやラオウの赤いマントも、ただの赤ではなく豪奢な模様が入っていて、北斗の拳が「ミュージカル」仕様の衣装として成立されとる!!と原作ファンとしてめちゃくちゃに感動しました。
まとめ
書いていて思ったんですが、興味があって観に行って好きだ!と思った舞台は好きなスタッフさんで作られていることの多いこと…。
照明だと加藤温さんや服部基さんとか、舞台美術だと長田佳代子さんとかまだまだ好きな人がいるのですが、次回にまとめたいなと思います。
音響さんは、耳がそもそもそんなに良くないので、まだ見つけられてないのですが、今後見つけていきたいです。