さわらの観劇ダイアリー

私が勝手気ままに舞台について喋るブログです。

2023年上半期の観劇雑記(4〜6月)

8月の後半に出した1〜3月の観劇雑記の後、放置しすぎていたら12月になってました。
継続しないと下半期やらないので今やります。
上半期総額チケット代(手数料除く)は最後に載せてます。チケット価格帯は総集編をやろうと思ってるのでその時で。
★は上半期ベスト。敬称略してます。

【2023年1〜3月はこちら】
2023年上半期の観劇雑記(1〜3月) - さわらの観劇ダイアリー

2023年4月

現地12配信9(合計21回)
劇場で観たやつが軒並み良かった。
なお、久方ぶりに推しさんのイベントに出席し、推しのマネと「この劇団面白いのよね」「私も行くんです!」って話していた舞台で推しさんと鉢合わせをする恐怖体験もあった。連れてくるんかい!

1. エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~
映画「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」の舞台版。高校の同級生の推しが出ていたので行った。
シラノ自体はNTL版で履修済みだっため、エドモン自体がシラノを演じているような、様々な要素が分かるのも良かったし、入れ子式で構成されていくのも面白かった。
楽屋を舞台美術としているからこその場面転換もとても良かった。

2.LiveUpCapsules「彼の男 十字路に身を置かんとす」
2020年のコロナ禍での中止を得ての再演。
シアターサンモールの一面構成になったけれども、2階セットもあり、縦横無尽に鈴木商店の人員が駆け回る姿はめちゃくちゃ良かった。
協賛企業が総合会社という異色形態だったのもあるけど普段劇場で見ない若いサラリーマン層がわんさかいて、そこも面白かったな…。
勤めてる会社の一大トピックを小説やら映画やら演劇やら芸術産業と絡めるのは良いのかもしれない。少なくとも講義的にやられるよりは頭に入るよね。分かる。(身に覚えがある)
金子直吉(山田隼平)の破天荒っぷりとそれを補佐し、下を束ねていく西川文蔵(猪狩和馬/JACROW)のコンビが熱い。
DVDもあるので是非気になった人は買って欲しい。
LiveUpCapsules | ライブアップカプセルズ|知らない日本を見に行こう
あと、来年3月に公演があるらしい。

★3.パルコプロデュース「ラビット・ホール
4月ウェルメイド枠。
本来であればKAAT版を兵庫で見るつもりだったが叶わず。出来れば比較したかったが、戯曲がとても良かった。
感想の中で、海外から輸入されてくる戯曲は「解決策に取り組む必要のない」という日常劇が非常にうまいと書いていたが、「解決策のないまま傷を癒そうとする」演劇は若手小劇場作家(特に現代口語演劇系)に多いと感じるので、商業プロデュースはもっと日本のストレート・プレイを取り入れても良いとは思う(なぜ日本人の脚本家からだとエンタメ思考になるのかはいつも疑問に思う。何が欠けているのか)

4.露と枕「わたつうみ」
宗教的・排他的コミュニティで生まれ育った二世である七人の神様が、それぞれを〝他人〟だと寛容する話。
それぞれが神様であったことよりも人間として生きることを選んでいく描写の変化が非常に美しい。宗教(の中でも一般的にカルト宗教と呼ばれる新興宗教)という生活基盤を捨てることはある意味″人生のやり直し″に近いと思う。

閑話休題:演劇で新興宗教を描く際にナチュラリスト系が多いのはなぜなのか。自然に対する信仰は確かに日本にも根ざしているが…。実在宗教のオマージュだと、否定した場合にフリークが見た時に問題になる可能性があるから…?

2023年5月

現地13配信10(合計23回)
この時点で100本超え。
毎月演劇作品20演目ぐらい見ていて若干自分の脳内処理どうなってんだろうと不安になっていました。安心してください。ちなみに11月末で平均19回、演目的に考えれば17作品くらいです。減りました。

★1.猿博打「とりつくひま」
めちゃくちゃ良いOPムービーを作成されていたところから行ったらめちゃくちゃ良かった。
武蔵野大学出身3人組(男2女1)で構成されたユニットなんですが、まぁ〜〜〜全員面白い!キャラが濃い!!
「とりつくひま」は、やみ・あがりシアターの笠浦さんが書き下ろした作品。
行方不明になってる彼氏の魂が欠伸によって3人にシームレスに乗り移っていく話で、それぞれのキャラの大混乱も極めて面白く…。また配信販売も期間限定ファイル共有で、ありがたすぎた。PCに落としてよく見てます。
12月の年末にはコント公演があるので、楽しみ。
https://x.com/sarubakuchi/status/1708814191283556810?s=46&t=tC5_T-5QhE8GdlVBpo1fow

★2.サルメカンパニー「スウィングしなけりゃ意味がない」
エンスポライド作戦を基に、ラインハルト・ハインリヒ暗殺計画からその後の結果までを描いた作品。
ほぼ若手俳優演奏家で構成されてはいるが、5000円で観て良いの!?と思ったりそれくらい完成度が高かった。
スウィング・ジャズの生演奏と硬派な脚本の構成、もっと注目されてしかるべき劇団。PARCOとか大きな舞台でやって欲しい。
2024年1月26日(金)〜2月4日(日)には92歳の福田善之氏の書き下ろし脚本で公演を行う。
28歳×92歳、桐朋学園大時代の師匠と弟子のコラボになる。楽しみ(その2)
https://x.com/salmecompany/status/1726525800277795222?s=46&t=tC5_T-5QhE8GdlVBpo1fow

3.劇団た組「綿子はもつれる」
5月ウェルメイド枠。
加藤拓也脚本もとい演出は、静かなドキュメンタリーっぽさもあれど、なんとなく居心地が悪い家族劇が多いなと思う。人間として不完全であることを優しく認められている気にもなれるが、終わり方がビクッとすることが最近多い。「いつぞやは」は体調崩して見られなかったのでWOWOWで12月9日に放映されるのが楽しみ。(その3)

2023年6月

現地10配信5(合計15回)
この時期から会社が多忙を極め出した(はず)

★1.鵺的「デラシネ」(配信)
3月に現地で観られなかったので、配信。
初めて見たポスターが亀甲縛り男女二人組だったため、フェティシズム的な芝居をする劇団だと思っていたが違った。
勘違いが解けた初めての芝居で(精神的に)めちゃくちゃにされたのは最悪で最高。
ハラスメントや性的消費の描写がエグいが、向き合い方も熱量も終わり方も全て良かった。円盤が欲しい。
今年の12月21日〜29日まで新作公演があるので見納めはこちらになるかもしれない。
http://www.nueteki.org/

★2. THE ROB CARTON「Meilleure Soirée」
コメディ作品だと分かっていて自ら足を運ぶのはこの劇団だけかもしれない。
関西の劇団なんですが、ゆるさと伏線の掛け合わせがめちゃくちゃに好き。
2020年コロナ禍の配信で知った。
ハードボイルド演劇(ほぼコント)のマチネを一通り見た後、マチソワの間に起こった俳優たちのラフな掛け合いからの、ソワレ公演。
そんなこと起こる!?って思ったが、それがコメディ。疲れた時に見たい。

★3. 木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻」
古典劇は東西関係なく苦手なんですけど、木ノ下歌舞伎のアレンジの仕方はめちゃくちゃ好き。私はなんで9月の勧進帳を見れなかったんだ(体調不良)
FUKAIPRODUCE羽衣の糸井氏が作る妙〜ジカルソングの息抜きできる音楽と意味がないようである歌詞に包まれて優しい気持ちになり泣いてしまうんですが、そもそも辛めの演劇が上手いと思う。世知辛さの中にポップさがあるというか。

★4.ある馬の物語
6月のウェルメイド枠。
鉄骨剥き出しな建設現場風の舞台に集まる肉体労働者たち、ふらふらと足場を歩く成河が足を踏み外し、斑馬であるホルストメールの一生を描く物語へと変わる。
成河が周りよりも小柄でありつつも存在感のある役者であることも功を奏したキャスティングであったと思う。
一幕最後のシーソーのような機械装置はアトラクションみたいで良かった。

上半期はこれに加え、演劇的には「血の婚礼」「イェルマ」などで知られるフェデリコ・ガルシア・ロルカのアマンテと言われるラファエル・ロドリゲス・ラプンの最後の夜を描いた戯曲「暗い石」を読みながら見たり、フアン・ラミレス・デ・ルーカスとの日々を描いた「EL ÚLTIMO AMOR DE LORCA」を見たりした(いずれもスペイン語のみの字幕なし。輸入されないかな。)

下半期もあとちょっと!皆様も良い作品に最後まで出会えますように!!


<おまけ:上半期チケット総額(手数料を除く)>
1〜6月までの内訳:
観劇回数:129回
演目:116作品(内115作品初観劇)
2023年:88作品
2023年内訳:現地:73作品、配信等15作品
〜2022年:26作品

チケット総額(手数料除く):
¥551,200
チケット内訳:現地¥482,000、配信等¥70,800