さわらの観劇ダイアリー

私が勝手気ままに舞台について喋るブログです。

劇団印象『エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜』

セルフアドベント企画「観劇感想アドベント

2日目

 

劇団印象『エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜』

 

2日目です。早くも残業まみれで挫折しかけてるけど自分用に書き留めたいので、頑張ります。

 

なぜこれを選んだかというと、1日目に記載した『アルトゥロ・ウイの興隆』の作者、ベルトルト・ブレヒトと同じくエーリヒ・ケストナーもナチ党の焚書の被害に遭っていた史実上の人物だからなんですよね。

 

そんな、エーリヒ・ケストナーとは一体どんな人物だったのか。劇中では1923年のナチスの興隆から、1945年の第二次世界大戦終戦までの22年間が描かれ、ケストナーやその友人を中心として描かれた評伝劇がこの『エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜』になっています。

 

どうも、ここ一年は『抑圧と抵抗の歴史』に触れることが多く、コロナ禍以降の演劇界のトレンドなのでは?と思っていたりします(昔からそうだったと言われれば、それはそう)

 

今作は、実直な会話劇ではあるんですけど、所々にエーリヒ・ケストナーが書いた作品をモチーフにした演出を見つけることができたので、読んだことある人とかは楽しいかもしれません。

 

個人的には、レニ・リーフェンシュタールが戯曲の中に取り込まれていたのが、アクセントになっているなと思っていて、彼女を演じた今泉舞さんが美しカッコ良い女性なので再演も出てくれないかなぁと思っています。

そもそも誰?ってなる方もいると思うので、ざっくりと説明すると、彼女はナチズムに協力した映画監督して、非難され続けた(今もそう評価されている)女性です。ダンサーから転身し、のちにナチスプロパガンダ映画を完成させ、ヒトラーの右腕とも言われることのある彼女は、度々エーリヒの前に姿を表します。

 

エーリヒ・ケストナーの芸術家としての矜持と、恐怖による創作への挫折、そこからの希望の流れも含めて、戯曲としてめちゃくちゃ良かったのですが、レニが強い女性として存在するために得た芸術家としての在り方には考えさせられるものがありました。

 

行く末を知っているからこそ信じられる希望があるとかも良いなぁと思いました。

 

現在、劇団印象では「国家と芸術家」三部作公演と題して、シリーズとして国家に翻弄された芸術家たちの舞台を行なっており、本作も再演されるとのことなので、気になった人は見て欲しいなと思います。

 

まーた、ギリギリ入稿なので、おそらくこれからまた補正します。

明日は余裕持って描きたいな……。

 

2022年1月10日追記

劇団印象さん、エーリヒじゃなくてカレル・チャペックで新作ですって…めちゃめちゃ楽しみです…