さわらの観劇ダイアリー

私が勝手気ままに舞台について喋るブログです。

アルトゥロ・ウイの興隆(1日目)

セルフアドベント企画「観劇感想アドベント

1日目

 

『アルトゥロ・ウイの興隆』

 

1日目なので、私の中で1番ホットな舞台を取り上げることにしました。

 

舞台は不況にあえぐシカゴ。そこで、1人のギャングが暴力的な支配力を以って強大な支配者へとなっていきます。

 

1人のギャングの名は「アルトゥロ・ウイ」

 

タイトルにも名が入っているこの男が如何にしてのし上がっていくのか。

実は、このストーリーは1920年代後半から30年代にかけてのドイツにおけるヒトラーとナチ党の台頭を写し変えて作られており、私たち観客は『熱狂』を真に体感することになります。

 

めっちゃ怖いんですよこれ!!!??

 

2020年はコロナ禍直前だったのでマスクなしの人も多くて声出して煽り煽られをしていた認識なんですけど、2021年の今年はマスクをして声を出さないからこそ、制限される恐怖みたいなのもあり、余計怖かったです。

 

しかも今回は二階席、俯瞰して見られるぞぉ〜!とワクワクして行ったら、客観的に見すぎて周りの賛成だと手を挙げる姿にゾッとしてしまい、カテコ前は拍手せずに呆然としました。

 

ウイがのし上がるまでには、いくつも転換期があります。そこで抑えられたかもしれないことは、ウイ率いるギャング団により亡き者とされ、最終的にはウイはカリスマ性のある統治者として描かれていく。私たち観客は熱狂の裏にある、抵抗した人間の屍に見てみぬふりをし、ウイのカリスマ性に心酔するか、自らが殺される恐怖に怯えながらあの渦に巻き込まれなくてはいけないのです。

 

しかも、この熱狂が歴史的事実を体感させられていることに気づいた瞬間、現実を振りかえざるを得ないのです。私たちはまた、この熱狂を現実に引き起こしていないかを確認せねばならないと、そう思わされる。

 

これってすごいことなんじゃないか?と本気で思います。

 

白井晃演出は暴力的な背景も綺麗になりがちな気もしますが、そこが逆に怖いなって今回初めて気付きました。怖すぎ白井晃。入り込みやすい分、その怖さに気づいた時にはすでに穴に蹴落とされている気分です。

 

これはぜひ生で見て欲しいと心底思う舞台なので、お時間ある方はぜひチケット取って見に行って欲しい。

豊洲PITとかどうやってやるんだ…と気にはなってます。

関西在住の方は京都公演あるんで是非。

 

https://arturoui-stage.com/